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『早速、本題いいか?』
『おう、頼む』
珍しく芳樹が口を開く。
あたしじゃなく、芳樹がまず話すようだ。
『まどか、美羽。今から話す事は、あまりいい話じゃねェ。聞く気があるなら最後まで聞け』
『ああ』
『うん』
『特に美羽。気持ちのいい話じゃねェが、取り乱したりするな。分かったか?』
『う、うん』
ドキドキ、する。
心臓が痛いくらい鳴ってる。
芳樹は二人に確認すると、やっと話し出した。
バーベキューでの出来事を。
****
『直については保留だ。確証がねェ』
『ああ、分かってる』
チラリと美羽を見る。
俯いていて表情はワカラナイ。
『鉄、テメーどう思う?』
『直かどうかは別にして、私は組長と話してた通りかと』
『やっぱりそうか』
『どういう事ですか?』
思わずあたしは口を挟んでいた。
話してた通りって?
『ああ、真ちゃんは知らなかったな』
組長さんはニヤリと笑った。
『真ちゃんが三島に連れてかれた時なんだがなァ、妙だと思ってな』
『妙…?』
『ショウは俺と麗が留守で、芳樹も若い衆連れて出払ってた時を見計らうように来ただろ?』
『でも、そんなの偶然じゃ?』
『ショウは一人で来やがった。誰もいない事が分かってなきゃ、いくらショウでも一人でノコノコやってこねぇ』
あたしは思わず息をのんだ。
『じゃあ…?』
『恥ずかしい話だがなァ、裏切り者がいるとしか考えられねェ』
ガツン、と頭を殴られたような衝撃だった。
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