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『………裏切り者が、いるなんて…』 あたしの声がポツンと響いた。 『違う!!直くんはっ、直くんは裏切り者なんかじゃないよォ!!』 『……美羽、落ち着け』 まどかが美羽の腕を掴み、座らせようとする。 『だって直くんはっ、あんなに優しく笑うんだよォ…?不器用な人だけど、美羽に優しくしてくれる!』 『分かったから落ち着け』 『まどかだって好きな人が疑われたら冷静でいられないでしょ!?』 『そうかもしれない。でも私なら…、疑いを晴らす事を優先する』 『……まどかァ…』 ペタンとその場に崩れ落ちて泣き出した美羽を見て、苦しくなった。 『……あたし、探します』 『まこ、とォ…?』 『柏木組の生き残りを』 泣いてる美羽の前にしゃがんで、背中をさする。 『すまない。一つ、いいか?』 まどかが皆を見据えて、口を開く。 『ああ、なんだい?』 組長さんの返事を聞いて、まどかは小さく頷いた。 『美羽の事を庇うつもりはないが、直くんが"裏切り者"である可能性は低いと思う』 『何故です?』 鉄さんが皆に麦茶をつぎながら、尋ねた。 『もし"裏切り者"ならもっと上手くやると思わないか?柊組を潰すつもりなら、わざわざ真に怪しまれるような事を言うのは賢くないと思う』 『まぁ、そうですね』 『向こうからしたらチャンスは一度。自ずと慎重になるのは明らかじゃないか?』 『それすら裏をかいて計算していたという可能性もありますけどね』 『……ん。今の話は全て可能性の話だから確証は何もないが』 まどかと鉄さんの話にあたしはポカーンとしていた。 えっ、何? レベルちげェエエエ!! あたしと芳樹なんか情報を整理しただけで、混乱したのに。 頭のデキがちげーわ。
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