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ジリジリと肌を蝕む紫外線。
ただ黙って立っているだけで、ダラダラと汗が吹き出す。
『おい、行かねェのかよ?』
『いっ、行くし?!フツーに行くし』
美咲真 じゅーななさい。
只今わたくし、芳樹と一緒に佐倉組の前まで来ています。
だけど、いざ入るとなるとドキドキして決心がつかずにいます……。
自分が情けないっ。
『……あちィから早くしろ』
『ケッ、これだからヤクザもんは!小心者の一般市民のキモチ分かってないねェ』
『ああん?テメー、上等じゃねェか。そのクソ生意気な口塞いでやらァ』
『たっ、たのもー!!』
芳樹の言葉に身の危険を感じて、勢いよく佐倉組の敷居を跨いだ。
あたしマジで小心者です、テヘ。
後ろで"誰かさん"のくつくつと言う笑い声が聞こえる。
非常にムカつく。
ハメられた。
あたしの大きな『たのもー!』に佐倉組の組員さん達が出て来てしまう。
皆さん…、とてもいかついです…。
『……もしや柊組の若さんですかい?』
『ああ、突然すまない』
『そちらさんは…?』
チラリといかつい兄さんは、あたしに視線を送る。
『用があるのはコイツなんだ』
『こちらのお嬢さんがですか?』
訝しげなその視線に、あたしは愛想笑いを返す。
『は、初めまして。美咲真と申します』
ペコリと頭を下げると同時に、額から汗が零れ落ちた。
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