12

3/10
前へ
/141ページ
次へ
**** さっきのいかつい兄ちゃん(ゲンさんって言うらしい)にキンキンに冷えた麦茶を出されて、思わず一気してしまった。 麦茶うめェ。 『プハーッ、美味しい』 『ハハハ!良かった!外は暑かったろ?』 『はい!もうだから麦茶が五臓六腑に染み渡りますよォ』 豪快に笑うゲンさん。 人は見かけで判断しちゃならないね! すげェいい人だ。 『……すまない、待たせたね』 仲良く談笑していた所に、ビシッと高そうなスーツをキメた人がやって来た。 し、渋い……。 『こちらこそ突然邪魔してすいません』 『おお、芳樹か。久しぶりだなァ』 笑うと人懐っこい顔になる佐倉組の組長さん。 パパが生きてたら、この人と同い年くらいなのかな…? 『こちらのお嬢ちゃんは?芳樹の女かァ?ったく、色気づきやがって』 『ああ、俺の女だ』 『ちげーよ!誰がテメーの女だよ』 うう……、またやってしまった。 てゆーか! もはやこのやり取りはお約束になりつつあるんじゃないだろうか。 『おー、威勢のいい子だね。私は嫌いじゃないよ。さて、そろそろ本題を聞かせてくれないか?』 その言葉に芳樹はあたしを見る。 ゴク、と唾を飲み込む。 何とも言えない緊張感が、あたしの体を支配していた。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1184人が本棚に入れています
本棚に追加