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キス………された……。
別にキスの一つでギャーギャー騒ぎ立てる歳でもない。うん。
……否!!
騒ぎ立てていいだろ、ファーストキスではないにしたって!
え?ばかなの?
初対面の女の子の唇奪うとか頭がどーにかなってるでしょーよ。この人。
ううう。
でも。
なんだろう。
この気持ち――――。
『今日はもう遅いから帰れ。送ってくから』
なんて勝手なんだ!
そんな事を思いつつ、帰る用意をする。
何気なくケータイを開くと着信23件。
メールも10件。
ぎょっとして確認する。
美羽とまどかから交互に電話が来ている。
『うわ…、忘れてた』
すぐに美羽に電話をかける。
まどかにしなかったのは、怒られたくなかったから……。
美羽なら「も~お」で済みそうな気がしたんです、ハイ。
『もしもっ『真!!今どこにいるのォ!何やってんのッ?』
美羽の怒った声に遮られる。
『心配したんだから!馬鹿!』
『ごめん、とりあえず会ったら説明するよ。今どこ?』
『お祭り会場だよ!真を探してたんだから早く来て!』
『うん、分かった。ごめん』
電話を切って溜め息をつく。
二人には、どこから説明するべきなんだろう。
『……ぷっ』
後ろで芳樹が吹き出す。
『何よ』
『いや、別に。表に車つけてるから行くぞ』
『あっ、うん』
芳樹に手を引かれて、車に乗り込む。
今度は鉄さんじゃなくて、芳樹の運転だった。
『運転できる歳なんだ?』
『俺は19だ』
『……童顔なんだね』
『うるせェ、老け顔』
『死ね』
ヤクザの若頭にこんな口きいて大丈夫なんだろうか。
まぁいいや。
芳樹も鉄さんも悪いヤツじゃなさそうだし。
三島組とかいう人達には気をつけなきゃいけないけど。
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