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『今の柊の組長、つまり芳樹の父に柏木を潰したと聞きました。 しかし、一人だけ取り逃がしたとも。 その時、私が一番に心配したのが真さんアナタ達の事でした。 柏木の生き残りは必ず礼にくるだろうと。 このまま引き下がる事は出来ないだろうと。 千原和也(チハラ・カズヤ)。 それが柏木の生き残りの名前です。 未だに消息は掴めていませんが…。 真さん、アナタは見てしまった。 幼いとは言え、事故現場に居合わせた。 その事を心配した香代さんは、苗字を変えて私達の前から姿を消しました』 香代さんというのはママの名前。 ママは、あたしのために苗字を変えて姿を眩ませたんだ…。 あたしは あの日 何を見たんだろう…? "―――!!" "パパー!パパー!" "ま……こと…" "ゔっ…、ヒック、…パパ、痛い゙の゙?ママー!えーん!!" 『……っは…ぁ……パパ…ッ』 『真!?大丈夫か?!』 『……っ、は…!』 苦しい。 苦しい。 苦しい。 息が出来ない。 ――――苦しい。 『おい、袋持ってこい!過呼吸だ!』 『真、大丈夫だ。俺がいる。大丈夫、落ち着け』 『……っ、はぁ、はぁ…っ、は』 『上手いじゃねェか。そうだ、ゆっくり息しろ。大丈夫だ』 芳樹……? 芳樹、芳樹、たすけて。 いきができないよ…。 怖いよ、 あの日の事を思い出すのは。 苦しいよ、 芳樹。
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