1184人が本棚に入れています
本棚に追加
****
『じゃあ、ミキさん後で連絡しますね。ご馳走様でしたァ』
佐倉組の組長さんの名前は、ミキさんって言うみたい。
ペコ、と芳樹と二人でお辞儀をして、車に乗り込んだ。
『またいつでも遊びにいらして下せェ』
『気をつけて下さいね』
ミキさんとゲンさんに見送られ、あたし達は佐倉組を後にした―――……。
『真さん……。いやァ、参った』
『どうかしましたか?頭?』
『俺ァ、頭なんて器じゃねェ。真さんは剛喜さんそっくりだ』
『確かに、似ていやしたね』
『剛喜さんの跡目は、真さんしかいねェ。テメーじゃ役不足だって痛感した』
それがあたしの"筋を通す"って事、か。
剛喜さんと同じ事言ってくれるじゃねェか。
"頭だからって、テメーらに守られてばっかいられるかよ。俺ァ、頭だ。俺の命に代えてもテメーら全員守ってやらァ"
"それが俺の筋を通すっつー事だ"
"だから、何も心配すんじゃねェ。ただ俺を信じて一生ついてこい"
あの事故の前日。
今、佐倉と柊が動くのは危険だから代わりに俺らが行きますと言った時。
剛喜さんは豪快に笑ってそう言った。
真さんは剛喜さんにそっくりだ……。
俺じゃ佐倉を小さくしかまとめらんねェ。
でも違う。
佐倉はもっと大きくなれる。
佐倉はもっと大義に生きれる。
俺ァ、そんな佐倉が好きなんだ。
『真さんなら、佐倉を大義に生かしてくれるだろうよ。なァ、ゲン』
『……頭ァ…』
香代さんは、とても素晴らしい娘さんを育てていらしたんですね。
剛喜さん、見ていますか………?
最初のコメントを投稿しよう!