1184人が本棚に入れています
本棚に追加
『えぇぇえぇええ!!あたし聞いた事ないですよ!パパの形見なんて!』
『実はこの形見にもエピソードがあるんですよ、お聞きになりますか?』
『勿論です!』
空くんも純ちゃんもバカ。
あたし形見なんて知らないしィィイイ。
『剛喜さんは大変子煩悩でした。
空さんが生まれた際には、空色の勾玉のネックレスを。
純さんが生まれた際には、美しい鏡を。
そして真さん、アナタが生まれた際にはこのドスを。
あの事故の時に、常に身につけていらした勾玉と部屋に飾られていた鏡は見つかり、空さんと純さんにお渡ししたのですが。
このドスだけは見つかりませんで。
香代さんが姿を眩ませて暫く経った時に、ひょこっと出て来たので。
渡しそびれてしまいました』
あー!!
知ってるカモ…!
空くんいつも勾玉のネックレス付けてた!
純ちゃんの鏡はワカンナイけど。
隠してたなんてヒドっ。
『あのォ、"ドス"ってなんですか?』
『ああ、スミマセン。ドスというのは短剣の事ですよ。ほら』
そう言われて刀を抜かれる。
ヒィィイイイ!!
パパのバカ!!
あたしだって鏡とかネックレスとか、そういう可愛いのがよかった……!
『何で、あたしだけドスなんでしょうか……。仮にも女子なんですけど……』
泣きたい。
よりによってドスって。
選択肢は色々あっただろうに。
最初のコメントを投稿しよう!