0人が本棚に入れています
本棚に追加
「学園長、彼を何故退学…は行き過ぎだとしても、停学処分にしないのですか?」
学園長室。学園長の名は海道龍斎(かいどうりゅうさい)。初老な見た目とは裏腹にかなりの肉体を持つ。
「彼とは神凪君のことか?」
「そうです!!いくら頭がいいからって…あんな、あんな人を見下しきった態度!!」
先生は怒りで体がプルプルと振るえている。
「…我が学園のモットーは来る者拒まず、去る者追わずじゃ」
「だからってあれを容認できるんですか!?」
「容認するもしないも、してもらわんと困るな」
「……分かりました」
学園長の頑固さは生徒、職員皆知っているため諦めて退出してしまった。
「神凪魅鬼か…」
「失礼します」
女性の声が龍斎の呟きを遮った。
「おぉ、麗羅(れいら)か入れ」
麗羅…海道麗羅は龍斎の孫娘である。
「学園長。来月に行われる文化祭のことなのですが」
「…つれないのぉ、何故お爺様と呼ばないんじゃ?」
拗ねてみせるいい年寄りを冷ややかな声で
「…学園長」
「分かった、頼むからそんな目をするんじゃない。一体誰に似たんだ…何でもない、ほら言ってみろ」
…弱点とは誰にでもあるのである。そう、例えいくら頭が良くて喧嘩が強い人間にも。
最初のコメントを投稿しよう!