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だが、それよりも苦手…恐怖に近い感情を抱く相手がいる。
そう、魅鬼の祖父―
「魅鬼よ、痛いか?そりゃそうじゃ、痣になっとるんじゃからの」
「…ぅ…」
身体は小さいのにそれに着こなされた服。
柔道着とさして変わらないが、しわ、黒ずみが毎日の壮絶な稽古を物語っている。
「お前は弱い。…身体の事ではない」
祖父は魅鬼をその鋭い眼光で射抜く。
「儂が怖いか?それとも憎いか?」
「………」
身体の痛みが我慢できる程度になった刹那、飛び掛かる。
「甘い!!」
「うっ…」
容易く身体を吹っ飛ばされ壁の硬さが魅鬼を襲う。
「確かに、お前の気持ちは解る。お前の親である以上、儂の息子でもある」
魅鬼の両親は死んだ。
交通事故であった。
神凪本家、それは武家である。両親を失った魅鬼は当然、そこで神凪流の武を習う。
ケンカが強いのも確固たる過去があるからだ。
「力の意味を知れ。…それが理解できん限りはお前は弱い!!」
小さかった魅鬼は何を言ってるのかが解らなかった。
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