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裸の子供たち
――――…
……誰?泣いてる…の?
はっきりしない意識の中で少女の泣く声がする
違う……これは…昔の……私?
晴美は鈍い痛みに膝を見ると擦り傷や切り傷で汚れていた
キィ‥キィ‥キィ…
「どうしたの?転んだのかい?」
「……ぁ」
優しい声に晴美は振り返り身を硬くした
何故なら…声の主は
顔面の半分を包帯で覆い
両太腿から先が無かった…
「はは…驚かしちゃったみたいだね…ごめんよ」
晴美は驚いた自分を恥じて頭を左右に激しく振った
「ごめんなさい」
小さな声で謝ると、声の主は優しそうに笑ってキィキィと鳴る車椅子を水道のある場所へ移動させと、晴美を手招きする
「おいで…ばい菌流さなきゃね」
――いい?晴美。あなたは大事な跡取りなのよ、知らない人についてっちゃダメよ?いいわね!?―…
一瞬、普段顔をあわすことが少ない母の厳しい声が晴美の脳裏をよぎる
晴美はプルプルと頭を振って母の声を頭の隅に追いやると、水道の蛇口の傍で晴美を待つ車椅子の男の元へ怪我した足を引き摺っていった
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