裸の子供たち

3/3
前へ
/14ページ
次へ
震えながら伸ばす腕で晴美の両肩を掴み揺さぶる。 「晴美ちゃん!!晴美ちゃんは…横田財閥の横田…慶子さんの娘さん…なのかい?」 「い…痛いよぉ~お兄ちゃん?」 車椅子の男は、ハッとしたように晴美の肩から手を離した 「はぁ~財ば…?は分からないけど横田慶子はママだよ? お兄ちゃん?お兄ちゃんってば!!」 男はしばらく茫然とすると、胸元から小さな包みを晴美に渡しす 「晴美ちゃん?これ…大事に持っててくれる?」 「なぁに?これ……ッキャ!!恐い顔してる!!やだぁ!!晴美!!いらないよ!!」 中に入っていた物は恐ろしい形相をした小さな木彫りの人形 「鬼子母神という神様でね?彼女はね悪いことをして子供を隠されたんだ。それで反省した彼女は子供の守り神になったんだよ」 「恐くない?」 恐る恐る聞く晴美に男は優しく笑って頷いた 「僕が作ったんだ……これは…君が持っているんだ。晴美ちゃん……でないと……」 「でないと?」 さわさわと風が吹き、公園の木々がざわめき始める。巻き上がった砂埃に目を瞑った晴美が、次に目にしたものは 燃え盛る公園 穏やかに車椅子に座る男 感情を表さず男の前に佇む女
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加