晴美

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一段一段と近づく女から遠ざかろうと一歩ずつ後ずさる晴美 ギギィィ… 錆びた蝶番の音がした方を晴美はチラッと見やると、階段の横の鉄の扉が微かに風で揺れているのを見つけた 女が、また一段降りようと足を踏み出した瞬間に晴美は扉に飛びついた ギッ…キキィィ――――ッ 晴美は中に入って必死に扉を閉める ギッ…ギギィィ――――ッ バンッ!! 鉄の扉が叩かれる音が大きく響く 「ヒィッ!!…ぁ…あと…少し…」 扉の隙間はあと5センチ足らず ニタニタと笑う女の顔が見える 晴美は渾身の力で閉めようと扉を引っ張った ガリ…ガリ…… 「ぁあっ!!」 隙間にねじ込まれた爪の無い指 晴美は構わず力一杯閉めると指は意外にあっさり引き抜かれた <アンタハソコデ オニンギョウトアソンデナサイ> 晴美は嵌められたと思った 「や…やぁあぁ!!出してエェ… バタアァァン!! 晴美の叫びは扉の音に遮られた
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