理科室

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……ヒタ   ……ヒタ     ……ヒタ 足音は2人の隠れる理科室の前で止まると顔を見合わせた ゴクッ 喉が鳴る音でも見つかるのではないかと心臓は早鐘を打つ     ……ヒタ   ……ヒタ ……ヒタ 「「っはあぁぁ~」」 遠ざかる足音に2人は息を吐いて初めて自分達が呼吸するのさえ忘れていた事を思い出した 「ふふっ」 中野と目があったあやが小さく笑うと中野も口の両端を持ち上げる 「近藤さん……さっきは…ごめん 僕、怖くて苛々してた」 素直に謝る中野にあやは首を横に振った 「ううん…いいの…中野くんは始めから嫌がってたもんね…無理強いして…ごめんね」 2人はフフッと笑うが、あやはその表情を曇らせた 「何か…言いかけてたよね?何?」 あやの様子を気遣い中野が話しかけると、あやは目線を微かに迷わせる 「あの…ね……中野くんって……名前、良樹だよね? 春馬っていう人……知らない?」 言った後、あやは中野の顔をみた。それは知らないと思っている顔ではなかった  
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