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そんな時、よく見知った顔の男性が勢いよく部屋に飛び込んできた。
「大変だ!!!
王の兵がここに向かってくる!!!」
「何だと!?」
兄さんの顔が驚愕の色に染まる。
僕の頭はすぐに王にここの場所がばれた原因を弾き出す。
「誰かが裏切ったんだ……」
僕は叫んだ訳ではなかったのだが、この呟きはその場に居た全員の耳に届いた。
「すぐにここを出よう!!!
攻め込まれたらそこでおしまいだ!!
既に囲まれてる可能性が高いけどどこかに手薄な場所があるはずだ!!
悩んでる暇はない!!
すぐにここを出て強行突破しか道はない!!
装備を整えた人から外に!!!
木の盾は必ず持って行って!!
矢を射掛けられる可能性は非常に高い!!
急いで!!」
僕の話の最中も皆は準備を整えていった。
僕も剣と盾を持つ。
僕は外に出て、高台に上る。
確かに王の軍が大群となって歩いて来ている。
だが前方にしか見えないということは後方に逃げた僕達を挟み撃ちにして殲滅という考えだろう。
兵があまり置けないような場所……
山しかない。
とても険しく、魔物が出るとされるその山しか……。
その山に向かい生きて帰って来た者は誰もいないと言う。
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