中学からの刺客

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実はこのファーストフードで使用している小麦粉は、業務用の規格なので一般家庭用と違って一袋の重さが20kgある。 オレはいつもそれを片手にひとつずつ持って運んでくる。 まぁ、力にそんな自信がない者でもひとつを抱えて持ってくる事は可能だろう。 今回もそれと同じように小妻にふたつ持ってくるように頼んだのだが・・・ 「クソッ!・・・あ~!クソッ!」 オレは正直言って少し笑ってしまった。 小妻は悪態をつきながらも、20kgの小麦粉ひとつを両手でも持ち上げる事が出来ずに引きずっている。 パッと見、オレやミスターよりも全然ガタイが良く見える小妻が、小麦粉ひとつに悪戦苦闘してる姿はギャグ以外何者でもなかった。 ハッキリ言えばウチの店の女子店員ですら、ひとつは抱えて持ってくる事ができる。 小妻は単純に腕力だけでなく、背筋力や握力まで並より下なのだろう。 つまりこのガタイは筋肉ではなく、全部脂肪という事だ。 オレはミヤビの言っていた事が、よく理解できた瞬間だった。 「何だよ・・・お前、ケンカ慣れしてるワリには力ねえなぁ」 オレはどんな反応が返ってくるか試してみたくて、意地の悪い言葉を発してみる。
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