酒と涙と男と女

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オレが教えたのは、どちらかと言うと当たり前の事ばかりだ。 そして最後に付け加える。 「やると決めたんだったら最後までやれ。手加減とか考えるな。先手を取って一度流れに乗れば大体は勢いでどうにかなるモンだから。マンガみたいなお互いに殴り合いまで発展すると、待ってるのはグダグダな泥試合みたいなケンカだけだぞ」 あくまでも、今までの経験から思ったオレ個人の意見です。 本当はもっと細かい部分もあるのだが、キリがないのでこの辺でやめておきます。 「よし!じゃあ今度は教えながらやるから、また組手やるぞ」 「うっす!」 もう真夜中だと言うのに、まだまだ元気な18才と15才である。 組手とも呼べないがこの後、何とか見た目だけでも形になるまで実に数日の期間を要した。 リオは基本的な筋肉すらついてないし、体も固い。 拳を使わせれば手首を捻挫する始末。 本当に苦労した。 日頃の筋肉トレーニングまでやらせた。 当然ながら1週間や1ヶ月程度で人間は劇的に強くはならない。 だが元々の調子に乗る性格に加え、ある意味心構えが変わるキッカケにはなったのだろうか・・・ 『超弱い』から『弱い』程度にしか変わってないが、リオが少なからず成長したのは確かだった。
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