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「まぁ、稲本も仕事中は気を付けろよ？」
注意だけ促すと、前田さんは電話を切ってしまった。
まだ聞きたい事とかも、あったのだが・・・
今回も前田さんが動くのか？
その犯人も可哀想に・・・
前田さんとカチ合う前に、引き際を見極めればいいのに
「稲ぴょん、先輩か何かっすか？」
オレがケータイをしまうと、リオが話しかけてきた。
『お前は彼女か！？』と言いたい所をグッと堪えながら返事をする。
「リアルの方の総帥だ」
これだけでリオは理解できたようだ。
「あぁ、あのヤクザみたいな人っすか・・・」
リオは前田さんに一度会った事がある。
いっつも知らない人には、誰かれ構わずケンカ腰になるリオだが、前田さんの前では空気のように気配を消していた。
「何か最近ウチのドライバーが、配達中にやたら絡まれるんだと」
オレは大雑把に説明をする。
「そりゃお気の毒っすね・・・」
「・・・だな」
ちなみにオレ達が同情してるのはドライバーではない。
車で絡んでくる相手の事だ。
前田さんが動いてしまったのだから・・・
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