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基本昼間働いている前田さんと根岸さんは、平日はほとんど20時入りのラストまでだ。
普通に考えれば、このタイミングで前田さんが出勤する事は分かってたのだから、前もって先手を打つべきだった・・・
「店長ォ、店のド真ん前にある邪魔なアリスト・・・アレ何すか?もしかして・・・」
今まで何が起きていたかも知らない前田さんは、店に入ってきながら店長に質問を投げかける。
そして店内が視界に入った瞬間、セリフは途中で止まった。
前田さんは無言で店内を見渡す・・・
ダルダルにシャツが伸びきって、苦虫を噛み潰したような表情のガラの悪いオッサン
伸びきったと言うより前半分ビリビリになった制服を着ている秦野さん
いつになく切羽詰まった表情の女帝店長
顔を押さえているオレ
カウンターから見える厨房で、息を呑むような表情でコッチを見ているピザ作製専門の女子店員達
そしていつもはうるさいぐらいに賑わっている店内なのに、水を打ったような静けさのピリピリとした空間・・・
音を発しているのは注文の電話ぐらいだ
しかしデリバリー店なのに、その電話にすら誰も出ない非日常空間
これらの風景が前田さんにはどう映ったのだろうか・・・
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