アリスト狩り

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だが勘違いしたままの前田さんは、オレにか秦野さんにか分からないが、声を張り上げたまま聞いてきた。 「よくやったぁ!このアホ、誰が捕まえたぁ!稲本か!?秦野か!?」 オレも秦野さんも今の前田さんにはうかつに近付けないし、ロクな返事もできなかった。 とばっちりで、店のガラスにミサイルのように突っ込まされる恐れがある。 「い、いや前田さん・・・違うんですって!」 遠巻きに状況を説明しようとするが、うまく口が回らない上に、前田さんが素直に聞き入れてくれるとも思えない。 『あの』女帝店長ですら、いきなりのこの展開に立ちすくんでいた。 「根岸からクソギャングみてぇな若いヤツって聞いてたけど、ずいぶん老けてんなテメェ、コラ」 前田さんは掴み上げたままのオッサンに凄む。 当然オッサンは前田さんの言葉の意味が分かってないだろう。 ま、前田さん・・・ そこまで分かってるなら勘違いにも気付きましょうよ・・・ どんなに老けてたって、このオッサンが20代前半ってのは、さすがにムリがありすぎます! 「取り合えず表出ろボケ。アリストごと解体してやる」 前田さんはそのままオッサンを引きずっていこうとした。
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