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オレは山口さんの言動から、とにかく難癖をつけて単純にポスティング業務から逃れたいだけだと判断した。
「いいな、分かったな!あと帰りに俺のタバコも買ってこい!今日はそれで許してやる!」
山口さんのムチャクチャぶりはこれが初めてではなく、結構頻繁にある。
今までは納得いかないまでも謝ったり、泣き寝入りしたりしていたのだが・・・
「い、いや、今日はさすがにムリっすよ。オレの担当区域とかなり離れてますって。二時間で戻れるワケないじゃないすか」
「ムリじゃねえんだよ、やるんだよ!怒られる要因を作ったお前が悪い」
オレは正直かなりイライラしてはいたが、これは仕事なんだからここで怒りをブチ撒けても損するのはオレだ。
「い・い・な!?」
山口さんは語気を強めて言うと、左手でオレのおでこを軽くペシペシ叩いてきた。
実はこのペシペシは山口さんのクセのようなもので、左手で2~3回ペシペシした直後に、右足でスネを蹴ってくる。
意識がおでこに向いた瞬間に蹴られるので、初めての時はまともにスネに蹴りがヒットして、スネをさすりながらうずくまったものだ。
コイツらしい姑息な手口だ。
うん、まぁ今までオレも不意討ちとか姑息な手を使っていた事は置いといて・・・
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