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「ところでどうしたんすか?珍しく呼び出してきて。もしかしてさっきの山口さんとの事ですか?」
「おう、その事なんだけどよ・・・稲本、取り合えずオレとタイマン張るか!?」
・・・
「・・・嫌に決まってんじゃないすか!!」
「うははは!そんなに構えんなよ。冗談に決まってんだろ?」
この人の場合は冗談に聞こえない。
さっきオレと山口さんをブン殴った時、心なしか目が嬉しそうに生き生きしてたし・・・
「まぁ、取り合えず座れや。さっき何であんな事になったんだよ?聞かせろや。店だと女帝がうるせえからな」
もしかしたらシメられるかもしれない、とまで思っていたオレは一瞬呆気に取られた後、隣に腰掛ける。
オレはこの日まで前田さんの事を単純に悪い人、怖い人だと思っていたのだ。
だが仕事中以外で話してみると、素直じゃないもののオレの事を気にかけてくれたり、人としての常識を兼ね備えているタイプの人間だった。
あ、いや今も本来は仕事中なんだけど・・・
気性が激しく見た目もゼンちゃんな前田さんだが、オレはこの日から見方が変わり、前田さんもオレを気に入ってくれて、仕事後などによく誘ってくれるようになった。
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