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―1―
「ふぅ…………」
棗は、携帯を見てうんざりした。
つい最近まで、一つも鳴らなかった携帯が休日になると引っ切りなしに鳴る。
一瞬、アドレスを教えなかったらよかったのではと頭に過ぎる。
自分でも、よくわからないままに交換してしまっていた。
これは、棗にとっては重大なことである。
何せ、アドレスは桔梗達ですら教えていない。
なのに、何故あの人には教えてしまったのか……。
多分、あの人柄がそうさせたんだな………。
自分よりも、年上のくせに妙に子供っぽくて人懐っこい。
すぐ笑うし、怒ったり表情がくるくると変わる。
妹の夏姫も、そんなところがあるけどあの姉は夏姫以上に、喜怒哀楽がはっきりしている。
俺とは、正反対だな。
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