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「今日は、本当にありがとうね」
マフラーを選び終わり、勘定を済ませてパタパタと走ってきた。
「別に、いいですよ」
まだ、胸がざわついたまま葉月さんを見る。
「えへへ、棗くん優しいね」
「はぁ??」
何言い出すんだ、この人は。
いつも、主語とか文脈を無視して話してくる。
「だって、今日だけじゃなくてずっと買い物付き合ってくれたでしょ??」
「あんたが、呼び出すからだろ??」
「でも、断らないじゃん??」
確かに…………。
いつもの俺なら、確実に断るのに。
何かが、おかしい。
なんだか……………、すごく。
「だから、優しいんだよ。棗くんは」
また、ふわりと笑う。
すごく、この人に惹かれる。
「あんただけだから」
ほら、俺らしくないことを言ってしまう。
そうするとまたふわりと笑って、ありがとうって。
―俺が君に恋する5秒前―
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