危険屋

憂鬱な接触

一方その頃、鍵沼は―――

鍵沼は自分なりに通り魔ｕｄについて街の住民に聞き込みをしていた。

危険屋のホームから消えたのはルキを見捨てたわけではなくて、寧ろルキのためにｕｄを捕獲しようとしていた。

「聞き込みをしようにも何処もかしこも閉じきっている…聞き込みにならないな」

そう愚痴をこぼしながら街を徘徊していると、遠くに人だかりを見つけた。

鍵沼は気になったので人だかりの方へ走って行った。
そしてその内の一人に声をかけてみた。

「何かあったのか？」

尋ねられた青年は此方の存在に気付き、振り返った。

「噂の通り魔が朝っぱらから殺しをやったんだとよ」

「何？」

少し驚いたがすぐに切り換えて人だかりの中央へと人を押し退けて進んで行った。

「！！？」

そこには二人の警官と布のような物を被せられた、恐らく人間であろう者がいた。

性別は分からないが、布から出ている腕だけを見て分かる事はかなり損傷が酷い。
おまけに布を被せられた者を中心に血が辺りに飛散していた。

「あーあ、ついに朝っぱらから殺りやがったな、通り魔め」

警官の一人が布を少しめくって酷い有り様の死体を見ながら言った。