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「そうっすね。しかもこんな人の多い時間帯にするなんて、どういうつもりなんすかね」
有り様を見ていた警官の後ろにいた若い方の警官が、吐き気がするのか口を押さえて答えた。
鍵沼は人混みを更に押し退けて若い方の警官に近付いた。
「おい、人の多い時間帯っていうのは何時頃なんだ?」
「何だお前は?」
「気にしないでくれ。兎に角いつ現れたのかを教えてくれ」
正直、突如通り魔が現れた事で焦っていた。
「それを聞いてどうするんだ?まさか通り魔を捕まえようなんて思ってないでしょうね」
「その通りだ」
当たり前のように言ってのけた。
「ダメですよ!!あなたはこの通り魔の危険性を知らないんですか!?絶対にやめて下さい!!」
警官気迫押し。
「あ、あぁ…任せろ」
鍵沼気迫負け。
ってバカか俺は!!何が任せろなんだよ俺!!
そう心の中で無駄な一人ボケ一人ツッコミをしてしまった。
そんな無駄な事をして絶望していると、いつの間にか警官や野次馬連中は次第にいなくなっていた。
鍵沼はただ虚しく立ち尽くしていた。
「………」
自己嫌悪。
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