憂鬱な接触

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「これは、本気で情け無い」 虚しく呟く。 まさかあんな若い警官に怒鳴られるなんて思ってもみなかったので、つい反射的に引いてしまった。 本当に情け無い限りだった鍵沼が一人うつ向きながら事件のあった場所で立ち尽くしていた。 「あんた、何やってんだい?」 すると一人のおばさんが近づいてきた。 「………」 鍵沼はそのおばさんの存在に気付くのに時間がかかってしまった。 「ここら辺は危ないから早く家に帰った方がいいよ?」 「あぁ…俺は大丈夫ですので。まだ用事もありますから…お気遣いありがとうございます」 それだけ言い残して鍵沼はその場を去ろうとした。 「用事って…あ!通り魔についてかい?出た時間なら大体知ってるよ?」 鍵沼はすぐに半回転して振り返った直後におばさんの目の前まで接近した。 「どうか教えて下さい。お願いします」 「え、えぇ…。えぇと、あの通り魔が出たのは今日の~…確か十時頃だったかしら、私はいつも通りその時間に洗濯物を干してたんだけどベランダに出てみたら誰かの悲鳴が聞こえたんで通りを見てみたら男の人が倒れてたのよ」
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