銀と蒼と翆と緋と

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    鬱蒼とした森の中、スタスタと軽い足取りで進む2つの人影があった。   片方は真っ直ぐな翆の髪が背中まで伸びている、背の高い青年。 年の頃はおそらく22、3といった所だろうか。 時折見える緋色の瞳が印象的だ。   もう片方は白いフードを目深に被っているせいでその容貌は窺えないが、服装は男物。 小柄な少年といった所だろうか。 そして彼の背には彼の背と同じ位はあるだろう大剣が存在した。     「アーク、まだつかねぇのかよ」   「ん~…もう少しで森から抜ける。そしたら村はすぐそこだ」   「いや、ちょっと待てアークレイ…お前言ってる事が30分前と変わってねぇから!」   「大丈夫だシェイズ、今度は本当にもうすぐだから」     シェイズと呼ばれた少年が素早くツッコむが、アークレイと呼ばれた青年は堪える事なくにこやかに言ってのける。   シェイズの声は男にしては少し高めで、声変わりが起こっていない少年特有の美しいボーイソプラノで悪態をつく。     「あーあー、わかりましたよ。どーせ俺が体力ねぇって言いてぇんだろ。悪かったな体力なくて」   「何怒ってるんだ?シェス」   「…もういいよ…てかシェスって呼ぶなっ!くそバカアーク!」     皮肉っぽく悪態をついてみるシェイズだったが、アークレイには意味が通じず逆に腹が立ったようだ。 最終的には愛称にまで文句を付け始めた。   アークレイはそんなシェイズを見てニコニコと微笑んでいる。 まさに大人と子供状態だということにシェイズは気づく気配すらない。     「大体お前はいつもいつも…ー「シェス、村が見えたよ」   「……へ?」     どうやらシェイズがアークレイに突っかかっている間に森をぬけていたらしい。 彼らの視界には長閑な村が映っていた。
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