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2人が宿から出ておよそ3時間、漸く買い物も武器類の研磨も終えて、シェイズ達は夕暮れの中村を歩いている。
「結構時間かかっちまったな~」
「そうだな。暗くなる前に宿に帰ろう」
「りょーかい」
依然としてフードを被ったままのシェイズの横を荷物を持ったアークレイが歩く。
その様は兄弟のようであり、主従のようでもあったが2人は周りの目を気にする事無く話しながら宿へと向かった。
「さて、と荷物もこれでおっけーだな」
「あぁ…シェイズ、部屋でくらいフード取れば?」
満足気にシェイズが告げるとアークレイは遠慮がちにそう勧めた。
いまだにシェイズはフードを被ったままだったのだ。
「あ、忘れてた…」
頭に布を被っている事を忘れるというある意味凄い事をさらりと述べながら、シェイズはフードを取った。
サラ、と一日中布の中に入れられていた筈の銀髪がシェイズの肩にかかる。
ゆっくりと伏せられた瞼が上がると、中からは綺麗なスカイブルーの瞳が覗く。
年齢は14、5といった所だろう。
黙っていれば芸術品のような綺麗さで、それはアークレイと並ぶ事によりまるで一枚の絵のように見えた。
…ただし
「あ~、つっかれたぁー…」
あくまで口を開かなければ、の話だ。
「明日は一日村で休んで~明後日出発な」
「わかった。次はどこに向かう?」
「東かな…。ちょっと気になる噂を聞いたしな」
「そうか」
「…嫌か?」
乗り気ではないアークレイに、シェイズはおずおずと尋ねる。
その不安そうな顔をみてアークレイは軽く苦笑するといつものように一言、口にした。
「シェイズ、君の望むままに」
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