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翌日穏やかな賑わいの村の中をシェイズとアークレイはゆっくり歩いていた。
都会の喧騒とは違った、ゆったりとした和やかで穏やかな賑やかさが心地よい。
「ん~っ、いいよなこの平和具合~」
「………」
「アーク?」
「気をつけろシェス、何か…来る」
アークレイが何かを察知したらしく鋭い視線を辺りに向けた。
その時、突然の突風が村に巻き起こった。
「!?」
「シェス!」
村の物を切り裂きながらぶつかってきた突風からアークレイはシェイズを庇う。
周りにいた村人からは悲鳴が聞こえ、風がやんで目を開けたシェイズの前に広がったのはめちゃくちゃになった村の広場…
(さっきまであんなに平和だったのに…くそっ)
「シェス、怪我はないか!?」
「あ、あぁ…俺は大丈夫だ。俺よりお前の方が怪我してるんじゃ…」
風に乱された翆の髪を整える事なく、フードが取れたシェイズをアークレイは覗き込み、息を呑んだ。
「…大丈夫…?それの、どこが大丈夫?」
シェイズの頬には突風によって一筋の傷が走っており、そこからは血が流れていた。
アークレイの緋の瞳が細められ、剣呑な雰囲気が辺りを漂う。
(や、やばい…アークの奴マジで怒ってる!)
怒った彼がどれほど怖いか知っているシェイズは血の気が引くのを感じながら、慌ててアークレイを宥めようとしたが悪い事は重なる物で、シェイズの傷の元凶が自分から現れた。
「ひゃーっはっはっは!どうだったよ俺様の風はよぉ!もいちど喰らいたくなかったら金目の物だして命乞いしなぁ!!」
「……最悪だ」
下卑た笑みを浮かべて現れた魔術師崩れの盗賊の頭を見て、これから起こる事にシェイズは頭を抱えた。
その隣で、アークレイがゆらりと立ち上がるのを感じながら…
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