独りぼっちの優しい化け物

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      「…貴様がさっきの風を起こしたのか」   「そ、それがどぉした!!」     尋常じゃない様子で低い声で尋ねるアークレイに盗賊の頭は少し怯みながらも強がって答える。   アークレイはそれを聞いた後ゆっくりと顔を上げる。     「っひぃぃっ!!ば、化け物ぉ!」     盗賊達は一気に恐怖に陥り中には腰が抜けた者までいた。 アークレイの緋色の瞳はギラギラと光り、殺気と怒気を含んでいる。 もともと人間離れした美しい顔が余計に人ならざる者という認識に拍車をかけた。     「化け物?それは貴様らの事だろう?…よくもシェスに傷をつけてくれたな…この代償は高くつくぞ」   「ひっ!た、たすけ…」     金縛りにあったように動けなくなった盗賊達にアークレイはす、と左手を持ち上げた。   …膨大な魔力を伴って…     「やめろ、アーク!!」   「滅ぼしつくしてやろう」   「うっわ…聞いてねぇよ…」     シェイズは軽くため息をつくとおもむろに走り出した。     (間に合えよ…!)   「いい加減に、しやがれー!」   ードゴォッー   「ぐはっ!!」     全力疾走の勢いを全く殺さず、シェイズはアークレイを蹴り飛ばした。 アークレイは軽く吹っ飛んで地に伏す。     「全く、いつもいつも…お前はいちいち大げさなんだよ!おい、聞いてんのか!?」   (お前が気絶させたんだろ!!)     気絶したアークレイに悪態をつくシェイズに盗賊達は心の中でツッコんだ。 そして彼らはすっかりシェイズのペースに巻き込まれている事に気づく。     「大体お前はーっ!?」   「わ、悪いなぁ坊ちゃん」     未だに気絶している(半覚醒)アークレイに文句を 言うシェイズを殴って気絶させ担ぎ上げた。     「ぅっ…シェ、ス…」   「こいつは預かっていくぜぇ。返してほしかったらアジトまで1人で来な」     頭はそう言い放って手下を連れて去っていく。   地に伏し悔しそうな目で彼らを睨むアークレイを残して…    
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