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シェイズが目を覚ますとそこは見慣れない部屋(しかも狭い)だった。
「あ"~?ここどこだ?」
「ぁ、あの…」
「えっと…アーク蹴った後に殴られて~でここ……殴られて!?何俺拉致られた!?あの間抜け面達に!?」
「…あのっ…」
「マジかよ俺~…カッコ悪ぃ~」
「あの!!!」
「Σわぁっ!!び、びっくりしたぁ…」
ぶつぶつと独り言を言い続けるシェイズに痺れを切らしたのか、声の主は声を荒げた。
「す、すみません…あの、痛いトコロとか、ない…ですか?」
「え、あ…大丈夫だけど…あんた誰?」
どうやら気遣ってくれているらしい声の主は、部屋の闇に溶け込んでよく見えない。
声の感じから男ということだけはわかる。
「わ、私は…貴方の見張り…」
「てことは盗賊の一味かぁ…」
しどろもどろな様子で答える声に暢気な返事を返しながら、シェイズは闇に近づく。
「な、何デスか?」
「えいっ」
声の主がシェイズの行動を不審に思い声をかけるのと同時に、シェイズは声の主を闇から引っ張り出した。
「っ…みないで…クダサイ…!」
「……」
闇から引きずり出されたのは1人の青年だった。
しかし、本来耳がある場所には人の耳ではなく、獣の耳が。
手足はくすんだ金の毛に覆われ、長い爪が。
そしてそれと同色の尻尾…形状からみてどうやら彼は獅子族らしい。
ただし、普通の獅子族にはないはずである翼が、背中から生えていた。
「…キメラ…合成獣…?」
シェイズの呟きに彼はびくりと震え、目を逸らした。
その両翼は、痛々しく折られていた…
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