独りぼっちの優しい化け物

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      折れた両翼を持つ青年は、毛並みと同じ茶金の瞳を悲しげに揺らして俯いた。     「あんた…この羽どうしたんだよ…」   「え…」   「え…じゃねぇよ!こんなひでぇこと誰にされたんだよ!」     青年はシェイズの言葉と態度が意外だったのか、目を大きく開いて顔を上げる。 茶金と、蒼の瞳が交じりあう。     「どうして…貴方が怒るのデスか?」     青年の声には困惑の色が浮かんでいた。     「だって酷いだろ!?勝手に姿を歪められて、逃げ出さないように翼を折られてっ…」     吐き捨てるかの様に喋るシェイズの顔は泣きそうで、蒼い瞳は今にも涙が零れ落ちそうなほど潤んでいた。   青年はまた目を見開いた。 シェイズが言った事が当たっていたからではなく、シェイズが自分の事を心ある存在と認めて、自分の扱いを不当だと言ってくれたから。   誰かに気遣われる事など、今まで一度もなかったからこそ青年はひどく驚いたのだ。     (ナンテ…なんてアタタカイ人なんだろう)     青年は今まで人は自分を物として扱う人間しか知らなかった。 だから、初めてかけられた優しさに、初めて触れた暖かさに涙が溢れるのを止めることなど出来なかった。     「Σちょ…あんた何で泣いてんだよ!俺もしかして酷い事言ったか?」   「ちがっ…違いマス…!ただ…嬉しくテ」   「嬉しい…?…そっか…」     青年の言葉に一瞬怪訝そうな表情をしたシェイズだったが、すぐにその言葉の意味を理解したのか彼はふわりと微笑んだ。   その微笑みがとても優しくて、青年は胸が熱くなる。     「ありがとう、ございます…」   「俺は何もしてねぇよ。…あ、あんた名前は?」   「名前…デスか?レイオール…です」   「レイオールかぁ…んじゃレオだな!俺はシェイズ!よろしくな、レオ」     突然の質問にレイオールが驚きながら答えると、シェイズはにっこりと笑ってレイオールの手を握った。   どうやら握手したかったらしい。   そしてレイオールが事態についていけないでいるのをよそに、シェイズは勝手に話を進める。    
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