蒼に染まる

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冷たい冷たい雨の中、ただ自分は歩いていた。時刻は20時を過ぎた頃、傘をさし目ざすは後輩の家。 後輩の家に行って何をする訳でもない。ただあの家にいたくなかっただけだ。あの家はあたたかく両親もいて、弟妹もいる。環境に不自由はない。楽しい家族だ。 だが、長女である自分よりも弟妹に手をやく両親に少なからず不満を抱えていた。両親に愛されているという実感が持てないでいる自分がいる。甘え下手な自分はどうしても弟妹みたいにはいかず疎外感をも感じてしまう始末。 両親が悪い訳ではないのだが、いてもたってもいられずこうして後輩の家に逃げることを選んでしまったのだ。 (なにやってるんだろ自分) 街灯が道に等間隔に並んでいるが、なんといってもここは田舎、街灯と街灯の間隔が長く、暗闇が苦手な自分としては背筋を強ばらせて進むことになる。 (早く着きたい) 足早に進んで行くと、いきなり足場が無くなり暗闇の中に吸い込まれて行った。
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