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しんと静まりかえった夜の庭で水をかぶり桶を傍らにおく。
(くそっ!)
男は右手をそっと右目にあてた。冷たく固いもので阻まれている右目は今は機能していない。だが、先に見た夢の幼い自分の右目はずきずきと鈍い痛みが走っていた。その間隔がまだぬぐえていないのか、はたまた幼い自分を嫌悪の目で睨む母の顔のせいなのか――
(また見るなんてな…)
右目の眼帯を外し顔を拭くための布に手を伸ばそうとするとバシャンと池に何かが落ちた。
(なんだ!?)
池に現れたのはむせる咳をするずぶ濡れの人間。自分と年はそう変わらないのではないだろうか?
「……っったい~(涙)いきなり何?服濡れてんじゃん(涙)」
「…おいお前、ここで何してる…」
「わかんない…」
(いきなり現れたからどこかの忍かと思ったが……)
池から上がると自分の服の水を絞り出すより先に、包みであろう布の中身を確認し先ほどより泣きそうな顔をする
(ただのガキか…)
「お前どこから来た?」
「どこって…〇〇町」
「は?おちょくってやがるのか?」
「おちょくってなんかないよ!」
「ここは奥州伊達家の城だ。民が勝手に来ていいところじゃねえんだ帰んな!」
「奥州?伊達家?…?」
「…知らねえのか?」
「……」
「おい、なんとか言え」
「…目……怪我したの?」
「!!!」
(shit!)
あわてて右目を隠す
「お前には関係ねえ、さっさと帰んな」
「ごめんなさい!!聞かれたくないことだったんだね;ごめん、っくしゅっ」
「これ使え」
投げた布をうまくキャッチする
「…いいの?君が使うんじゃなかったの?」
「俺より今はお前の方が濡れてんだろうが」
「…お借りします」
徐々に拭いていくがもたつく姿に段々とイラつきが増していく
「貸せ、俺が拭いてやるから脱げ」
「や//いいから//;;自分で拭けるから;」
「遅いんだよお前」
無理やり服をはいだら、あるはずのないものがあってフリーズした
「お前…女だったのか」
「~~~///だ~か~ら~自分でやるっていっただろうがぁぁあああ!!!!」
バキッ!!
そのあと、泣きわめく声に気付いた小十郎がかけつけ俺は説教されるはめになる
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