3人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのね、私も事故に会ったみたいなの」
少女は昼間の医者の話しを思い出して辛そうな顔をする。
「え…………」
その発言に、少年の表情が変わった。
「お前、もしかして…………」
そこまで言うと、何故か少年は口を閉ざしてしまう。
「でね、お父様は死んじゃってお母様は意識不明なんだって」
誰かに聞いてもらいたかったのか、ぽつりぽつりと話しはじめた。
「…………」
その話しを少年は苦虫をかみつぶしたような顔をしながら聞いている。
「なぁ、相手の話しは聞いたのか?」
そして、少年は少し震えた声で少女に問いかけた。
その言葉に、少女の表情は固くなる。
「相手の話しなんか……聞きたくないもん。お父様、お母様をあんな目に合わせた相手なんか」
そういって、泣きそうな顔で吐き捨てるように言った。
「そうか……そうだよな」
少年が辛そうな顔をしているのに、少女は気づかない。
「そろそろ寝るか。お前、部屋まで送ってってやろうか?」
そしてそういう少年の顔は、すでに無表情に戻っていた。
「うん……お願いします」
その半面、少女は笑顔で少年の申し込みを受けた。
最初のコメントを投稿しよう!