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「そっその相手が……私の家族の車だったの?」
少女はやっと搾り出したかのような声で呟く。
「…………そう、みたいだな」
少年は昨日の時点ですぐに気がついていたのか、たいして動揺は見せない。
「…………」
少女は、少年を睨みつけた。その瞳には、怒りと困惑の色が見て取れる。
「安心しろよ、お前の家族を殺した俺の親父は死んだ……そして、俺ももぉじき死ぬんだ。これで許してくれなんて言うつもりは無いけどさ……」
「え…………なんで」
少年は無表情を少し崩して、自笑するような顔になる。
「この国の法律知ってるだろ?俺の親父が死んだ日、お袋も死んだんだ。俺には今両親がいねぇのさ」
「…………そんな」
それを聞き、少女は先程まで怒りを覚えていたはずなのに、今は目の前の少年にいなくなられることを嫌がっているみたいだ。
「法律、確か第十条……如何なる理由であろうと両親を失った満15歳以下の子供は、処分しなければならない」
「…………」
少女もその法律については知っているようだ。
顔色がどんどん悪くなる。
「俺は、14歳。そろそろ国に殺されるのさ」
そこまで言うと、少年はベッドにねっころがった。
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