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次に少女の目が覚めたのは、夜になってからだ。
当たりはシーンっと静まり返り、夜は夜でも真夜中だということが何となく分かる。
「…………」
少女は、何を思ったのかベッドから降りた。
そしてドアに向かう。
どうやらトイレに行きたいようだ。
少女はその小さな手で、スライド式のドアをゆっくり開いた。
それと同時に廊下の冷たい空気が流れ込む。
「……さむっ」
そう呟くと、少女は体をさするようにして温める。
廊下の電気はすべて消えていて、ただ遠くに見える非常口のランプが緑色に光っていた。
その雰囲気はとても独特で、恐怖心を仰ぐ。
少女は一瞬行くのを躊躇ったが、トイレには勝てないようで、一歩を踏み出した。
「………暗い」
そう呟きながら、壁に手を当てながらトイレを目指す。
すると、角を曲がった所でトイレの看板を見つけた。
「良かった、以外と近くて」
しかしトイレの中も真っ暗で、中々入る勇気が得られない。
「なに……してるの?」
入ろうか迷っている少女に後ろから声が掛かった。
少女の肩は今までにないぐらい飛び跳ねる。そして慌てて後ろを向くと、少女と同い年ぐらいの少年が立っていた。
「なにしてるの?」
聞こえなかったと思ったのか、少年はまた同じ質問を聞き返す。
「トイレに行きたいんだけど……怖くて」
少女がそういうと、少年は無言で女子トイレの中へ入って行った。
何をするのかと思っていると、トイレの電気がつく。
「俺、ここで待っててあげるよ」
そして、トイレから出てきた少年はふっと笑った。
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