疾走

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「皆で、智基を無視しようって。もう全員があなたのしたことを知っているのよ」 言葉が出てこなかった。 心の中に微かにあった淡い期待は、風に吹かれて消えた。 クラス全員が俺の行いに気付いている。 担任の耳に届くのも時間の問題だろう。いや、もう知っているかもしれない。 黙ったままの俺に奈美はさらに続けた。 「でも、私はイジメなんてしたくない。それだと正平を殺したあなたとなにも変わらないから。けど、あなたのことはすごく憎い……」 なにも言い返すことができなかった。
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