沈黙

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閉めきったカーテンから朝の日差しが少しだけ漏れている。 布団から顔だけを出して時計を確認した。 短針が7と8の中間を指している。 体が重かった。昨夜は何時に眠れたのだろうか。 最後に時計を見たのは5時過ぎだったような気がする。 夜はなかなか眠りにつけず、昼間に少しばかりの浅い睡眠を貪る不規則な生活が続いていた。 階段を昇ってくる足音が聞こえ、部屋の前で止まった。 急いで布団を頭までかぶりこむ。 「智基、入るわよ」 ドアを開けて沙代子が入ってきた。 「また学校休むの?」 「うん」布団に潜り込んだまま答えた。 「朝ご飯はどうするの?」 「……いらない」
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