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「……最近、ヒルダさんや邦枝さんが近くにいるから、全然イチャイチャ出来なかったから……その…」
男鹿もニヤニヤ笑いながら手を回す。
「……言うと思ったよ…♪」
男鹿はベッドを仕切るカーテンを閉めた。
布が擦れる音しかしなかったが、古市の喘ぎと、水音だけが微かに部屋に響いた――――
「ちょっと!二人とも遅すぎ!」
一時間後、二人は体育館に戻ってきた。
「わりいわりい!で?結果は!?」
「…さっきは勝ったけど、二試合目で六騎聖と当たってね……」
「………本誌じゃなくて良かったな……」
その場にいた全員の血の気が引いた。
「おいゴラァ!!」
神崎が男鹿の胸元をつかみあげる。
「テメーが余計な真似してくれるから、負けちまったじゃねーか!!」
「じゃま。」
男鹿の拳からバチバチと雷がほとばしり、神崎を体育館の外へ殴り飛ばした。
「あでゅん!!」
「全治二週間…かな。」
古市が長年のカンで日数を口にする。
「男鹿ぁ…!」
姫川が、後ろから特殊警棒で殴りかかる。
「おっと。」
ヒョイとかわす。
「男鹿!!俺たちの三年間、どうしてくれんだ!!」
よく見ると、目の端に涙が流れた跡がある。
「え?そんなに?」
古市が軽く引いた。
「ウザイ。」
男鹿がアッパーを食らわせた。
「全治……二週間と2日かな?」
天井に突き刺さった姫川を見て、古市が呟く。
「あれ?東城さんは?」
古市が夏目に訪ねた。
「ああ、バイトだから帰るってさ。僕もバイトだから帰るよ。じゃ。」
スタスタと体育館を出て行った。
「私も…用事あるから。」
続いて邦枝も出て行った。
「みんな妙に帰りたがるな…あ。……山村!」
「はい!?」
「ここはお前に任せた!じゃ!行くぞ古市!」
「く……首もつな!!締まるだろ!!」
後には、ポツンと山村が残された。
「な…なんで…」
「ちょっと…そこのボウズ…」
「はい?」
山村が振り向くと、石矢魔の三年メンバーが大勢いた。
「俺らみんな負けてよ…ちょっと憂さ晴らしに付き合ってくんねーか?」
「いや…あの……」
山村は走り出した。
「結構です!!」
「待てやゴラァ!!」
「なあ男鹿。」
「なんだ?」
夕日が射す道を、二人並んで帰る。
「帰ってから……その……」
古市の顔が赤いのは、夕日の性だけではない。
男鹿は古市の頭をそっと撫でる。
「…わかってるよ」
ニヤニヤ笑っているが、どこか愛情のこもった笑みだった――――
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