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湯槽に浸かりながら、彼…いや、今の姿では彼女と言ったほうがいいかもしれないが。
彼女はゼジルについて考えた。
「(…アイツと初めて会ったのは、まだ俺たちが黒い時か。)」
俺たちとは、今は色を失った彼女の弟。
黒い時とは、紅蓮吸血鬼二世が、彼女たちの親が生きていた時。
そんなとき、アルトとゼジルは出会った。
◆ ◆ ◆
「よぉ、テノール元気か?ぎゃはははは!」
お父さんに話し掛けている下品な男は誰なんだろうか。
「あ?こいつらが次のスカーレットかぁ…。」
俺たちを見ている。
大丈夫だよソプラノ。
俺もお父さんもいるよ。
「…双子か。テメェは趣味がわりぃなぁ!!ぎゃはははは!好きだぜ!そんなとこ!!」
何を言っているんだろう?
「おいガキども!名前なんつーんだ?」
俺はアルト。
こいつはソプラノ。
「はーん、なるほど。テノールのガキらしぃじゃねえか!ぎゃは!」
ん、乱暴に撫でる人だ。
貴方の名前は?
「俺か?俺はゼジル。」
ゼジル?
変な名前!
「ぎゃはははは!!その通りだ!ぎゃはははははははは!!」
この時の俺は、何も知らなかった。
アイツが神なことも。
アイツのことを、何んも、知らなかったんだ。
◆ ◆ ◆
「…ぶくぶくぶく…」
アルトの記憶は曖昧だ。
特に黒いときは、漠然とした記憶しかない。
今の記憶も、ゼジルに会ったことで思い出したのだ。
「……ゼジルの野郎。早く帰れよ…。」
「帰んねーよぎゃはははははははは!!!!!!!」バーン!
「ぎゃぁーー!!!!!何入ってきてんだぁ!!!!!!!」
「あぁ!?てめぇがちんたら入ってるからだろうがぁ!!!ちいせぇ胸だなおい!!!!」
「胸はどうでもいいわぁぁぁぁあ!!!!!!!!!」
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