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朝が来ない森
そこに佇む大きなお城
そこにはまだ、そこの主人と、コウモリの従者しか見当たらない。
今から、何百年も前。
主人、アルトの顔も…幾分か幼く見える。
「アルト様、お食事の用意ができました!」
人間の姿をしたコウモリの従者が、食事を運んでいるが、それはみな人間の食べ物ばかり。
アルト、吸血鬼の食べ物とは随分とイメージが違っていた。
「ああ、ご苦労」
しかしアルトは何一つ文句を言わず、ごく普通に食事をはじめたではないか。
アルトは吸血鬼である。
しかし吸血鬼だからといって、毎日毎日美人の血ばかり飲めるわけではないのだ。
ここらに人間は見当たらないし、動物の血はたいしておいしくもない。
ならば、普通の食事をしたほうがよいのである。
「…はぁ、血が飲みたい」
「かれこれ二週間は飲んでませんねぇ…」
「…あの門番達を呼んで、飲ませてもらうのもありだな。」
「んなことしたら、彼女たちも従者になりますよ?」
「…あいつらが素直になるはずがないけどな。」
血を飲むには、かなり遠出をして飲むしかないが…アルトはとても面倒だった。
ネットがあれば通販で買いたいくらい面倒だった。
「あぁ…飲みたい」
「いいぜ」
ガシャァァァァアン!!!!
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