No.1

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朝が来ない森 そこに佇む大きなお城 そこにはまだ、そこの主人と、コウモリの従者しか見当たらない。 今から、何百年も前。 主人、アルトの顔も…幾分か幼く見える。 「アルト様、お食事の用意ができました!」 人間の姿をしたコウモリの従者が、食事を運んでいるが、それはみな人間の食べ物ばかり。 アルト、吸血鬼の食べ物とは随分とイメージが違っていた。 「ああ、ご苦労」 しかしアルトは何一つ文句を言わず、ごく普通に食事をはじめたではないか。 アルトは吸血鬼である。 しかし吸血鬼だからといって、毎日毎日美人の血ばかり飲めるわけではないのだ。 ここらに人間は見当たらないし、動物の血はたいしておいしくもない。 ならば、普通の食事をしたほうがよいのである。 「…はぁ、血が飲みたい」 「かれこれ二週間は飲んでませんねぇ…」 「…あの門番達を呼んで、飲ませてもらうのもありだな。」 「んなことしたら、彼女たちも従者になりますよ?」 「…あいつらが素直になるはずがないけどな。」 血を飲むには、かなり遠出をして飲むしかないが…アルトはとても面倒だった。 ネットがあれば通販で買いたいくらい面倒だった。 「あぁ…飲みたい」 「いいぜ」 ガシャァァァァアン!!!!
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