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「あ?もう終わりか?さっさとやれよコウモリ。ほら。はやく。」
肩から血を吹き出しながら近づいてくる姿はなんとも不思議だ。
攻めているのだか、攻められているのだか。
「あ…アルトさまぁぁ」
ゼジルの面倒さにやっと気が付いた従者は、主人に助けを求めようとしたが主人は目をそらした。
「…いや、一気に殺してしまえば問題ないはず!!!!」
鋭利になった爪を、ゼジルの首に一気に突き立てた。
常人なら喉を貫通するはずの衝撃のはずだが、爪は少し刺さった程度で止まってしまった。
それ以前に、ゼジルは避ける素振りすら見せない。
「俺様は血の神だ。血は無限に出せるし、簡単に止められる。それに…簡単に¨固められる¨んだよ。」
「!!!」
よく見ると、クロームのつけた首の傷から出た血が爪にまとわりつき、それ以上の侵入を防いでいたのだ。
これが、血の神…。
「この程度かよ。笑えねぇ」
笑顔が消えた神様は、クロームの頭を鷲掴みにすると、そのまま宙に浮かせた。
「い、いた…ぃっ!」
「これくらいでいてぇのかよw」
さらに力をこめると、頭からキシキシと嫌な音が聞こえはじめる。
しかし、先程から片手はゼジルの喉に固定されているし、痛みで何もできない。
「うわぁぁぁぁあ!!!」
「ぎゃはははははは!おいコウモリ…俺様ができることはそれだけじゃねぇ…、触れた生き物から¨全ての血を吸い取る¨こともできるんだぜ…?」
クロームの顔が青ざめたのは、恐怖か、貧血か……
そしてやっと救いが来た。
「そろそろ俺の従者をいじめんのは、やめてくれないか?」
「アルト…さ…」
「あ?なんだ。こんな弱い従者が大切なのか?」
「何かと役にはたっているからな、家事とか全部やってくれるし。」
そこ?
クロームは少し悲しくなった。
「…じゃぁこの興奮を、どこで発散させてくれるんだ…?」
「……わかったから早くクロームをはなせ。」
「あいよ。」
ドサッ
落とされた哀れなコウモリは、すぐさまゼジルから離れた。
情けない行動だが、当たり前といえば当たり前だ。
「さて、アルト。やろうぜ!ぎゃはははははは!」
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