No.1

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「あ?もう終わりか?さっさとやれよコウモリ。ほら。はやく。」 肩から血を吹き出しながら近づいてくる姿はなんとも不思議だ。 攻めているのだか、攻められているのだか。 「あ…アルトさまぁぁ」 ゼジルの面倒さにやっと気が付いた従者は、主人に助けを求めようとしたが主人は目をそらした。 「…いや、一気に殺してしまえば問題ないはず!!!!」 鋭利になった爪を、ゼジルの首に一気に突き立てた。 常人なら喉を貫通するはずの衝撃のはずだが、爪は少し刺さった程度で止まってしまった。 それ以前に、ゼジルは避ける素振りすら見せない。 「俺様は血の神だ。血は無限に出せるし、簡単に止められる。それに…簡単に¨固められる¨んだよ。」 「!!!」 よく見ると、クロームのつけた首の傷から出た血が爪にまとわりつき、それ以上の侵入を防いでいたのだ。 これが、血の神…。 「この程度かよ。笑えねぇ」 笑顔が消えた神様は、クロームの頭を鷲掴みにすると、そのまま宙に浮かせた。 「い、いた…ぃっ!」 「これくらいでいてぇのかよw」 さらに力をこめると、頭からキシキシと嫌な音が聞こえはじめる。 しかし、先程から片手はゼジルの喉に固定されているし、痛みで何もできない。 「うわぁぁぁぁあ!!!」 「ぎゃはははははは!おいコウモリ…俺様ができることはそれだけじゃねぇ…、触れた生き物から¨全ての血を吸い取る¨こともできるんだぜ…?」 クロームの顔が青ざめたのは、恐怖か、貧血か…… そしてやっと救いが来た。 「そろそろ俺の従者をいじめんのは、やめてくれないか?」 「アルト…さ…」 「あ?なんだ。こんな弱い従者が大切なのか?」 「何かと役にはたっているからな、家事とか全部やってくれるし。」 そこ? クロームは少し悲しくなった。 「…じゃぁこの興奮を、どこで発散させてくれるんだ…?」 「……わかったから早くクロームをはなせ。」 「あいよ。」 ドサッ 落とされた哀れなコウモリは、すぐさまゼジルから離れた。 情けない行動だが、当たり前といえば当たり前だ。 「さて、アルト。やろうぜ!ぎゃはははははは!」
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