さよなら、愛した人

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角君は、フラッと後ろに下がった。 「!? 落ちる……。」 角君はボソッと言った。 角君の後ろは崖になっていた。 「危ない!! 掴まるんだ。」 まぁ君は角君の手をつかんだ……手を……。 「掴めない……。 なぜ、すり抜ける。」 まぁ君がそう言った後、角君は暗闇へと消えていった。 皐月の鼻をすする音が響いていた。 まぁ君は、手に刺さってさっきすり抜けて落ちていた刃物を地面にさして皐月に近づいた。 「ごめん……。 角君を助けられなかった。」 「グスン……。 私、まぁ君にも角君にも悪いことしたんだよね。」 「それは、違う……。 君は、間違ったことなんて一つもしていない。 角君をふったこと、こっちと付き合ってくれたこと、全てが君の素直な気持ちだったよね。 やはり、君は素敵な人だよ。」 「まぁ君……。」 「そろそろ、時間かもしれない……。 さよなら、愛した人……。」 まぁ君が皐月の顎をクイっとあげ唇を重ねた。 皐月の目の前は眩しく光り、皐月は気を失った。 次に目を覚ました皐月は誰かの背中に顔を埋めていた。 「目が覚めたかい?」 「ミスター!!」 「福島君から、話は聞いたよ。 私も、君は間違ったことはしていないと思う。 ありのままの自分を出せることが一番素敵なのさ。」 二人の上には二つの星が綺麗に輝いていた。
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