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その先は、荒巻のちょっとした紹介、そして亡くなった時の事が話された。 しかし、荒巻は話を聞いていなかった。 なぜなら 消え去ったはずの思い出、記憶が頭の中に沸き上がり、溢れ出る涙を拭い切る事が出来なかったからだ 孫が生まれたあの日の喜び 初めてじぃじと呼んでくれた喜び ランドセルを背負った姿を見た嬉しさ ぐんぐん成長していく孫の笑顔 恋人を家に連れてきた時のあの照れた顔 結婚を報告しにきた晴れやかな笑顔 そして最後に見た、明日また会えると確信に満ちた瞳 全部、涙に変わり、荒巻の目から流れ落ちていく。
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