男鹿と古市の夏祭り

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「ほれ、これで新しい金魚買ってこい。」 「?」 姫川から小切手を受け取った神崎は驚いた。 「お…お釣りがくるわ!いくら何でも貰いすぎだ!」 「あ~いいのいいの」 姫川は神崎の肩を叩く。 「怪我の治療費もあるだろ?」 「……おい、まさかその後に『俺の下につけ』とか言うのかよ」 「心外だね…俺がそんなことするかと思ってんの?」 「疑いたくもなるだろ?テメエにメリットは何にもねえからな!」 「メリット?」 姫川は神崎の真正面に座る。 「あるよ」 「何!?」 姫川が神崎の顔に手を添える。 「お前が好きだから。」 さらりと、そしてキッパリと言った。 「バ……バカやろう!!こんな…人前で!!………ん?」 最初からギャラリーはいなかった。が、一人だけいたあの女がいない。 神社の境内の裏で、邦枝は嘆いていた。 「なんでっ…何でえ!?みんなそんな感じなの!?私の周りの男ってみんなくっついてたの!?」 (まあ嘆きたい気持ちはわかる。) 「私って……魅力無いのかな…」 (いや?フツーにあんた、美人だし。) 「あんたなんかに何がわかるの!?」 (いや、でもさ……作者の俺も、腐ってない訳じゃないからさ…本誌では普通のラブコメチックな恋愛してるから許してよ。…ぶっちゃけ、男と女の恋愛書いてたら「うわ、こいつこんなの妄想してるんだ…」ってなるじゃん。) 「ま…まあそうかもしれないけど…」 (納得した?) 「うん……」 (じゃ、話に戻ろうか) ……静かだ。とても静かだ。天の声?なにそれ、美味しいの? 「あ~…男鹿も見失ったし…最悪。」 その時、裏の方――つまり正面側――から、足音が聞こえてきた………
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