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「そろそろ…かな」
先に境内に上がってきた男鹿が呟く。
「ちょ…お前早い!」
後から古市が石段を駆け上がる。
神社の境内…というと広くて、参拝客が沢山いて、神輿があって、さながら祭りの中心地…というイメージがあるかもしれない。
が、この祭りではそういった雰囲気は無い。参拝客はハナから殆どいないし、神輿は街に出払っている。
オマケにそれほど広い訳でもない。
二組ほど「綺麗ね…」「君の方が綺麗だよ」なんて言うアベック(死語かな?)もといバカップルがいたが、男鹿が鬼のオーラを出しただけですぐに逃げ出した。
「後…少しだな。」
「突然こんな所に来て…何事だ?」
「いいからいいから。」
――――――――――――
「何?」
邦枝はソッと後ろを覗く。
(あれ?男鹿?それとあれは古市君?一体こんなとこで…)
――――――――――――
「古市…」
男鹿が古市を抱き寄せる。
「お…男鹿…こんな所で…」
――――――――――――
(え!?マジ!?)
自分の手がガタガタ震えているのがわかる。
(このパターンって…!)
――――――――――――
「よし…5、4、3、2、1…」
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