男鹿と古市の夏祭り

11/12
前へ
/12ページ
次へ
「そろそろ…かな」 先に境内に上がってきた男鹿が呟く。 「ちょ…お前早い!」 後から古市が石段を駆け上がる。 神社の境内…というと広くて、参拝客が沢山いて、神輿があって、さながら祭りの中心地…というイメージがあるかもしれない。 が、この祭りではそういった雰囲気は無い。参拝客はハナから殆どいないし、神輿は街に出払っている。 オマケにそれほど広い訳でもない。 二組ほど「綺麗ね…」「君の方が綺麗だよ」なんて言うアベック(死語かな?)もといバカップルがいたが、男鹿が鬼のオーラを出しただけですぐに逃げ出した。 「後…少しだな。」 「突然こんな所に来て…何事だ?」 「いいからいいから。」 ―――――――――――― 「何?」 邦枝はソッと後ろを覗く。 (あれ?男鹿?それとあれは古市君?一体こんなとこで…) ―――――――――――― 「古市…」 男鹿が古市を抱き寄せる。 「お…男鹿…こんな所で…」 ―――――――――――― (え!?マジ!?) 自分の手がガタガタ震えているのがわかる。 (このパターンって…!) ―――――――――――― 「よし…5、4、3、2、1…」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加