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男鹿がカウントダウンを始める。
「ゼロ!!」
その瞬間、向こうの方から花火が上がった。
「男鹿…このために…」
「綺麗だろ?」
男鹿は古市と向かい合う。
そして見つめ合い…
「古市…」
「男鹿…」
唇が触れそうになった瞬間、
「男鹿ぁ!!どこだ!?」
「金魚返せ!!!」
「あ、ヤベ」
神崎と姫川がなだれ込んできた。
「見つけたぞ男鹿!」
「このザコども…邪魔しやがって…!」
男鹿はフルパワーで神崎を殴る。
「蠅王の拳(ゼブル・パンチ)!!!」
「うわああああ!!」
ちょうど花火と重なり、さながら神崎は打ち上げられたようになった。
「貴様あああ!!」
「蠅王の散弾銃(ゼブル・ショットガン)!!!」
右手で連続三回殴る。その一撃一撃がゼブル・パンチだ。
姫川は声を出す暇も無く、夜空に散った。
「あ~萎えた……」
「あぁ……」
「帰る?」
「……でも…」
古市は男鹿の首に手を回す。
「キス……してよ」
「………おう」
男鹿はニヤニヤと笑いながら、キスをした――
――――――――――――
あとがき
邦枝は階段に腰掛け、落ち込んでいた。
「あ~あ…なんで私の周りには普通の恋愛が出来る奴がいないのよ…」
「まあ、そう落ち込むな。」
「え!?」
後ろを振り替えると、東条がいた。
「あなた…姿を見せないと思ったらこんな所に!」
「神主と友達でな。さっきまで呑んでたんだが、先にあっちが酔いつぶれてな。」
「……細かいツッコミは無しかしら…」
東条が邦枝の横にドッシリと座る。
「一体どうした?」
「…別に」
邦枝はフーンとそっぽを向く。
「さては…あれか?」
東条が後ろを指す。
「あなたも見てたの?」
「酔い醒ましに屋根の上でな」
「………本当に訳わかんない…」
東条が懐から、粉々になったリンゴ飴を取り出した。
後ろのポケットに入れていたから、無理もないが。
「食うか?」
邦枝はジッとみた後、
「……ありがと。」
ビニールを外し、噛み砕く。
「まあ………」
邦枝が夜空を仰ぐ。
「こういうラストも……あり?」
夜空に大輪が咲いた。
彼らの夏は………終わった。
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