男鹿と古市の夏祭り

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閑静な住宅街。 しかし、今日だけはにわかに活気づいている。 窓の下で浴衣姿の姉が、ヒルダの着付けを手伝っている。 「マカオには祭りって無いの?」 「祭り……アーカード伯爵が、毎年血沼ヶ原でカーニバルを開いておるが…」 「は?よくわかんないんだけど……まいっか。…よし、これで完璧!」 着物は完璧だ。どう見ても着物美人の部類だ。だが、白い帯に「red tail」と血文字で書かれているのはいただけない。 「あの…これは?」 「あ、昔の服を加工してね!リサイクルリサイクル!」 そういう問題でも無い気がする。 「チっ……おせえなあ…」 そのやり取りを二階から見ていた男鹿が、苛立ちながらつぶやいた。 着流しを着ていると、明らかにヤクザにしか見えない。 さすがに大勢が集まる場所で全裸だと幼児虐待にしか見えないので、ベル坊にはオムツをさせている。 「ダ!ダ!ダ!」 男鹿の足をベシベシと叩いてくる。 「わかってる!祭りだろ?古市のアホが来たら今すぐにでも連れてってやるよ!!」 ピンポーン チャイムが鳴った。 「来たあ!!」 男鹿は扉を蹴破り、階段を駆け下りる。 そして、扉をドロップキックで蹴破った。
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